最近の知見・成果(H21年度)


【研究活動の概要】
 本センターでは、ものづくり産業や次世代グリーンビークル社会の発展に貢献するため、21世紀COE「自然に学ぶ材料プロセシングの創成」および第I期知的クラスター創成事業「環境にやさしいナノテクを利用したものづくり」の成果を継承・発展させるとともに、第II期知的クラスター創成事業および愛知県「知の拠点」構想と連動し、環境と人類の調和に向けたバックキャスト研究開発理念のもと、環境にやさしい材料テクノロジーの研究を進化・発展させ、先導的部材開発を実現する産学連携研究教育拠点を形成する。また、「バックキャスト」理念を備え、ものづくりやグリーンビークルの発展をリードする若手研究者等の人材育成を行う。

 平成21年度は、センター創設の2年目として、本センターの基盤確立に向けた活動を重点的に実施することとし、グリーンビークルに関連する材料テクノロジーへの新展開を図り、下記に述べる研究活動、教育活動、拠点形成の重点化推進を図った。
 なお、特に、本年度は、本センターとエコトピア科学研究所の共同提案の「グリーンビークル材料研究開発拠点」が平成21年度先端イノベーション拠点整備事業に採択され、低炭素化社会および人との調和を実現する未来自動車(グリーンビークル)に関する材料研究の組織的な実施がスタートした。

 研究活動に関し、4基幹グループと産学連携推進グループによる一体的な研究推進、材料テクノロジーに関する共同研究等の連携研究の推進、競争的研究資金獲得やプロジェクト研究の提案などを行った。また、知的クラスター創生事業の実施や愛知県知の拠点等を通した地域の産業振興への貢献に注力した。

(1)4基幹グループと1産学連携推進グループによる一体的な研究推進
 バックキャスト視点に基づく材料テクノロジー技術の発展・確立を目差し、研究対象を重点化し、研究グループ体制(物質知略、エネルギー知略、プロセス知略、安全性知略の4基幹グループ、および、産学連携推進グループによる効率的・一体的な推進を狙った。
 研究成果の内容については後述するが、本年度は、本センターのメンバーの成果に限ると、投稿論文170報、図書・著書38報、発表・講演602件(内、国内会議:396件、国際会議:214件)、招待講演86件、新聞報道10件、テレビ放映1件、特許出願・公開・取得等14件、主な外部資金獲得65件、受賞30件、主催共催会議開催14件などの成果が得られた。

 特記事項として、本センターとエコトピア科学研究所の共同提案の「グリーンビークル材料研究開発拠点」が平成21年度先端イノベーション拠点整備事業に採択され、低炭素化社会および人との調和を実現する未来自動車(グリーンビークル)に関する材料研究の組織的な実施がスタートしたことが挙げられる。この事業採択に関する斉藤永宏教授、宇治原 徹准教授らの先導が高く評価される。
 また、高井 治教授の応用物理学会フェロー表彰、石川孝司教授の日本塑性加工学会フェロー表彰、興戸正純教授・市野良一教授らの表面技術協会論文賞、金 秀光君・宇治原准教授・竹田美和教授らの応用物理学会論文賞、浅沼浩之教授・梁 興国講師らの研究論文のSmall誌表紙、FEBS誌表紙、Angewandte Chemie誌Hot Paperへの選定、薩摩 篤教授・清水研一助教らの研究論文のAngewandte Chemie誌Hot Paper、Chem. Cat. Chem.誌内表紙への選定、などの成果が挙げられる。

 また、本センター関連専攻の大学院学生が受賞した優秀論文発表賞等の受賞は36件であった。

 協力メンバーの特記事項として、村田純教准教授・森永正彦教授らの日本金属学会論文賞、馬場嘉信教授らの第4回モノづくり連携大賞特別賞(日刊工業新聞社)、白藤 立特任教授のプラズマ材料科学賞(奨励部門賞、日本学術振興会プラズマ材料科学第153委員会)、竹岡敬和准教授の花王研究奨励賞(化学・物理学分野)、永野修作助教の東海化学工業会賞(学術)、加地範匡助教の日本分析化学会2009年度奨励賞、清水研一助教の平成21年度触媒学会奨励賞、棚橋 満助教(現:講師)の資源・素材学会第35回奨励賞などの成果が挙げられる。

(2)連携研究の推進については、産学連携推進グループが中心となり、共同研究等の効率的な方法を試行し、民間企業等とのマッチング・共同研究を実施した。

(3)競争的研究資金獲得については、拠点形成補助等に関するプログラム等への応募を検討・実施した。
 上述の通り、本年度は、本センターとエコトピア科学研究所の共同提案の「グリーンビークル材料研究開発拠点」が平成21年度先端イノベーション拠点整備事業に採択され、低炭素化社会および人との調和を実現する未来自動車(グリーンビークル)に関する材料研究の組織的な実施がスタートした。



【研究成果の概要】
 ものづくり産業やグリーンビークル社会における今後の課題のソルーションとして、環境に優しい材料技術を実現するために必要な知的基盤である「バックキャスト視点に基づく材料テクノロジー技術」の確立が必要である。この視点の追求により、低環境負荷プロセスの開発、高性能代替材料の開発、省エネを実現する材料の先導的研究技術開発を進めることができる。
 平成21年度は、バックキャスト視点に基づく材料テクノロジー技術の発展・確立を目差し、研究対象を重点化し、研究グループ体制(物質知略、エネルギー知略、プロセス知略、安全性知略の4基幹グループ、および、産学連携推進グループ)による効率的・一体的な推進を狙った。なお、研究対象は、鉄鋼・金属、高分子、セラミックス、生体材料などの材料全般で、従来枠に囚われることなく、環境と人類の調和に向けた知略のもとで最先端の研究開発を進めた。

 主な研究の題目は次の通りである。

1.物質創製と先進評価(物質知略)
  「金属材料の表面処理に関する研究」
“Study on Surface Treatments of Metallic Material”
興戸正純(マテリアル理工学専攻)
「先端ナノ材料評価のための先進電子顕微鏡法の開発」
“Development of Advanced Electron Microscopy for Technological Nano-materials”
田中信夫(結晶材料工学専攻)
「超高圧超高温下での新材料・新結晶の創製」
“Synthesis and Crystal Growth of New Materials in High Pressure and Temperature”
長谷川 正(マテリアル理工学専攻)

2.エネルギー・環境のための材料開発(エネルギー知略)
  「高効率熱電変換材料の開発」
“Development of High-Efficiency Thermoelectric Materials”
河本邦仁(化学・生物工学専攻)
「環境にやさしい化学プロセスとクリーン自動車のための固体触媒」
“Solid Catalysts for Environment-friendly Chemical Process and Clean Vehicles”
薩摩 篤(物質制御工学専攻)
「ZnS−AgInS2固溶体ナノ粒子の作製と光機能材料への応用」
“Preparation of ZnS-AgInS2 Solid Solution Nanoparticles and Their Applications to Photofunctional Materials”
鳥本 司(結晶材料工学専攻)
「3C-SiC高品質結晶の溶液成長と大面積化」
“High Quality and Large-Area 3C-SiC Solution Growth”
宇治原 徹(結晶材料工学専攻)

3.自然に学び環境にやさしいプロセスの創製(プロセス知略)
  「新規スラリー調製・評価技術によるスラリープロセスの高効率化」」
“Improvement of Slurry Process Efficiency by Novel Slurry Preparation and Characterization Methods”
椿 淳一郎(物質制御工学専攻)
「光機能性ソフトマテリアルの創製」
“Creation of Photofunctional Soft Materials”
関 隆広(物質制御工学専攻)
「バイオミメティック材料プロセッシングによる環境調和型ナノ材料の開発」
“Development of Environment-Friendly Nano-materials by Biomimetic Processing”
高井 治(エコトピア科学研究所)
「ソリューションプラズマプロセッシングによる高機能ナノ材料の開発」
“Development of Functional Nano-materials by Solution Plasma Processing”
齋藤 永宏(エコトピア科学研究所)

4.将来の安心安全社会を支える材料技術(安全性知略)
  「組織・構造・形態制御による材料開発と高機能化」
“Materials Development and Improvement by Control of Micro-Structure and Morphology”
金武直幸(マテリアル理工学専攻)
「インテリジェントナノ材料としての新規機能性核酸の構築」
“Creation of New Functional Oligonucleotides as Intelligent Nano-materials”
浅沼浩之(物質制御工学専攻)
「セラミックスを基材にした生体組織修復材料の創製」
“Development of Novel Ceramic Biomaterials for Medical Applications”
大槻主税(結晶材料工学専攻)
「後方押出し鍛造における製品寸法精度に及ぼすプレスのスライドモーションの影響」
“Influence of Slide Motion of Press on Accuracy of Product in Backward Extrusion”
石川孝司(マテリアル理工学専攻)
「表面疵を有する材料の鍛造割れ予測」
“Prediction of Crack Occurrence in Forging of Steel with Surface Defects”
湯川伸樹(マテリアル理工学専攻)

 以下、本年度の研究成果の概要について述べる。

1.物質創製と先進評価(物質知略)

 本分野については、物質創成と先進評価の新たな発展を狙い、バックキャスト視点に立って高性能代替材料、希少元素代替材料、元素戦略などに寄与する新たな物質の構造・特性や物質創製の基本原理・技術指針等を蓄積している。
 本年度は、金属材料の表面処理に関する研究、先端ナノ材料評価のための先進電子顕微鏡の開発、超高圧超高温下での新材料・新結晶の創製などに関する研究を重点的に行った。

 「金属材料の表面処理に関する研究」(興戸グループ) については、環境負荷の少ない溶液を用いて種々の「大きさとかたち」を作り出し、「機能」を表面に与えるプロセスについて研究を展開し、@Ti合金上へのアパタイト被覆,酸化物被覆による生体親和性表面処理、AMg合金の陽極酸化、化成処理等の耐食性表面処理および生体材料への応用、B液相を用いたCu, Ni等のコモンメタルのナノ粒子合成、Cヒートシンク材料の合成、D水溶液中の電気化学反応による膜合成、等について多くの成果を得た。Bの研究は、平成22年度から始まる「知の拠点プロジェクト(愛知県)」の研究テーマとして,他の金属材料の新規加工プロセスを開発している研究者らと連携し、研究の展開を図る予定である.
 本「金属材料の表面処理に関する研究」に関連して、本年度、興戸・市野らは(社)表面技術協会の論文賞「Pbフリー銅合金の耐食性」を受賞した。

 「先端ナノ材料評価のための先進電子顕微鏡の開発」(田中グループ) については、物質知略部門の研究活動の一環として、半導体、非晶質、炭素ナノチューブ、準結晶、酸化物および光触媒など、産業界からも注目をされている先端材料の局所原子構造と電子構造を、高性能電子顕微鏡を使って解明することを目的にしている。本年度は、コペンハーゲン大学との共同研究により、軸方向にIII族元素比の変化するサンドイッチ構造を持つナノワイヤー作製に初めて成功し、ナノワイヤーの界面組成変化などの現象を解明した。また、次世代high-kゲート絶縁膜であるランタン酸化膜の熱処理特性について詳細な解析を行った。
 これまで本学では、収差補正超高分解能TEM/STEM、ヘリウム温度で観察できるTEM、半導体界面の組成を原子レベルで測定できるEELS付きTEMなどが設備されていたが、今後ガス環境でナノ材料を3次元可視化できる大型電子顕微鏡も建設予定であり、名古屋大学におけるナノ分析機能を持った計測設備群はますます充実していくと考えられる。これらが順調に機能するには、装置を操作する若手研究者(博士課程後期学生含む)の確保と、高いレベルでの育成が重要な案件である。これらの各種装置を使用した研究者間の緊密な情報交換による分析・研究機能は、当材料バックキャストセンターにとっても重要な役割を担うと考えられる。

 「超高圧超高温下での新材料・新結晶の創製」(長谷川グループ) については、高圧高温密閉空間が容易に得られギガパスカル領域の超高圧と数千度の超高温という熱力学条件が容易にかつ同時に達成され、新しい物質合成場を我々に提供してくれるDAC(ダイヤモンド・アンビル・セル)を利用して、@ボロン系超硬物質の超高圧高温合成と圧縮挙動、A遷移金属炭化物と窒化物の超高圧高温合成と圧縮挙動、B金属14族化合物系超硬物質の超高圧高温領域での新物質合成、Cルチル型14族酸化物の超高圧高温超臨界流体からの結晶成長などに関する研究を進め、特に、ボロン、ボロン酸化物、遷移金属炭化物、遷移金属窒化物、遷移金属珪化物、遷移金属ゲルマニウム化物、ルチル型酸化物を中心に、様々な無機物質の新物質と新結晶の創製に成功し、多くの新たな知見を得た。

▼主な研究成果の発表

1) “Formation and Osteoconductivity of Hydroxyapatite/Collagen Composite Films Using a Thermal Substrate Method in Aqueous Solutions”, K. Kuroda, M. Moriyama, R. Ichino and M. Okido, A. Seki, Materials Transactions, 50(5), 1190-1195 (2009)
2) “Surface Characteristics of Chemical Conversion Coating for Mg-Al alloy”, M. Okido, R. Ichino, S. J. Kim and S. K. Jang, Trans. Nonferrous Met. Soc. China, 19(4), 892-897 (2009)
3) “Anodizing of Magnesium Alloy AZ31 in Alkaline Solutions with Silicate under Continuous Sparking”, L. Chai, X. Yu, Z. Ynag, Y. Wang and M. Okidoi, Corrosion Science, 50, 3274-3279 (2009)
4) “Annealing Behavior of La2O3 Thin Film Deposited on Si (001) Substrate Studied by Spherical Aberration Corrected TEM/STEM”, S. Inamoto, J. Yamasaki, E. Okunishi, K. Kakushima, H. Iwai and N. Tanaka, Trans. MRS-J, 34 (2), 297-300 (2009)
5) “Junctions in Axial III-V Heterostructure Nanowires Obtained via an Interchange of Group III Elements”, P. Krogstrup, J. Yamasaki, C.B. Sorensen, E. Johnson, J.B. Wagner, R. Pennington, M. Aagesen, N. Tanaka and J. Nygard, Nano Letters, 9(11), 3689-3693 (2009)
6) 「電子線ナノイメージング」, 田中信夫(単著), 2009, [内田老鶴圃]
7) “Synthesis of Ln nitrides (Ln = Ce, Pr, Gd, Lu) in High Pressure and Temperature”, K. Niwa, M. Hasegawa and T. Yagi, J. Alloys Compnd., 477, 493-497 (2009)
8) “Hydrogen-Induced High Damping of Bulk Metallic Glasses”, M. Hasegawa, Mater. Sci. Eng. A521-522, 354-358 (2009)
9) “Electronic Structure of Zr-based Metallic Glasses”, M. Hasegawa, H. Sato, T. Takeuchi, K. Soda, U. Mizutani, J. Alloys Compd. 483, 638-641 (2009)


2.エネルギー・環境のための材料開発(エネルギー知略)

 本分野では、バックキャスト視点に立って、将来の資源・環境と深く関わるエネルギー問題の解決やナノテクノロジーを活用したエネルギー・環境技術などに寄与する材料テクノロジーの革新的発展を狙い、エネルギーに関連する新たな物質・材料・プロセスの創製に関わる基本原理・技術指針等の知見を蓄積している。
 本年度は、高効率熱電変換材料の開発、環境にやさしい化学プロセスとクリーン自動車のための固体触媒、ZnS−AgInS2固溶体ナノ粒子の作製と光機能材料への応用、3C-SiC高品質結晶の溶液成長と大面積化などの研究を重点的に実施した。

 「高効率熱電変換材料の創製」(河本グループ) については、日本オリジナルの高効率バルク熱電変換材料の開発を行い、バックキャストテクノロジーの観点からこれをデバイス化して廃熱回収・電力変換への応用の道筋をつけることを目標とし、最近発見した無害かつ非希少元素から構成されるSrTiO3を利用したバルク熱電変換材料の研究を推進した。また、量子ナノ構造バルク材料の熱電特性シミュレーションや新しい高効率熱電変換の材料・システムを提案・検討し、重要な知見を得た。特に、SrTiO3(STO)のナノ構造制御による低熱伝導化、ナノコンポジット化による高ZT化(ZT:無次元性能指数)、STOナノキューブの合成、室温〜400℃で高ZTを示す材料の開発、太陽光・熱エネルギー同時変換システムの設計などに関して、新たな知見を得た。

 「環境にやさしい化学プロセスとクリーン自動車のための固体触媒」(薩摩グループ) については、持続可能な社会の構築に向けた環境に優しい科学技術の確立を狙い、「環境に優しい化学プロセス」と「クリーン排ガス自動車」をターゲットとし、これらを実現するための固体触媒開発とその基礎研究を推進した。本年度は、特に、銀のナノクラスターおよびナノ粒子を用いて、環境調和型有機合成触媒およびディーゼルパーティキュレート燃焼触媒の開発を行った。環境にやさしい化学プロセスを目指した固体酸触媒の開発では、銀アルミナの脱水素・水素化能を利用した新規触媒系が、アルコールをアルキル化剤とする原子効率の高いone-pot C-C,C-N結合形成反応に活性を示すこと等を見出した。自動車排ガス浄化触媒の開発については、Ag粉とCeO2を物理混合後に焼成処理した混合触媒が、Agが微粒子化することで担持触媒に近い触媒活性をもつことや、種々の混合触媒を検討することにより,CeO2だけでなくn型半導体の特性をもつ酸化物でも同様の効果が起きることなどを見出した。
 本分野に関連して、本年度、薩摩・清水らの研究論文が、Angewandte Chemie誌Hot PaperやChem. Cat. Chem.誌内表紙に選定された。

 「ZnS−AgInS2固溶体ナノ粒子の作製と光機能材料への応用」(鳥本グループ) については、高発光性の新規低毒性半導体ナノ粒子の創製を目的として、熱分解により高い量子収率で発光するZnS-AgInS2固溶体ナノ粒子を創製し、粒子の化学組成を変化させることによって、その発光波長の制御を可能にした。ナノ粒子をZnSシェルにより被覆すると、さらに発光強度が向上し、その発光量子収率は最大で、約80%と非常に大きなものとなった。このナノ粒子は高い毒性を示す元素を含まず、生体分子マーカー、LED、新規発光材料としての実用化や、太陽電池の光吸収層などの光エネルギー変換システムへの応用が期待できる材料である。

 「3C-SiC高品質結晶の溶液成長と大面積化」(宇治原グループ) については、バックキャスト視点から環境にやさしい次世代半導体材料の実現を狙い、低温溶液成長法による高品質3C-SiCバルク結晶に関する研究を進展させた。この研究では、結晶サイズを大きくできないという課題に対して、既存の六方晶SiC基板結晶上に3C-SiCを安定に成長させる技術を確立し、基板サイズの3C-SiC結晶の成長を可能にし、さらに、過飽和度制御により、その再現性を高めることに成功した。開発した結晶成長法には、高品質結晶の実現が可能、インチサイズ結晶へも対応可能、他の多形のSiC結晶成長にも応用可能、などの特徴があり、特に、成長した結晶の品質が、従来法によるものと比較して優れている。今後、現在のSiCの標準サイズである3インチ基板を実際に成長させ、サンプル供試およびユーザー評価により、本技術で成長した3C-SiCのパワーデバイスにおける有効性を示す。また、3C-SiCは窒化物発光デバイス用の基板としても注目されているので、その分野の研究者とのコラボレーションを模索中である。
 本研究分野に関連して、本年度、金・宇治原・竹田らは応用物理学会論文賞「Super-High Brightness and High-Spin-Polarization Photocathode」を受賞した。

▼主な研究成果の発表

10) “Enzyme-Assisted Synthesis of Titania under Ambient Conditions”, K. Katagiri, H. Inami, T. Ishikawa, and K. Koumoto, J. Am. Ceram. Soc., 91, S181 (2009)
11) “Thermoelectric Properties of Electron Doped SrO(SrTiO3)n (n = 1, 2) Ceramics”, Y. Wang, K.H. Lee, H. Ohta and K. Koumoto, J. Appl. Phys., 105, 103701 (2009)
12) “Electric-Field Modulation of Thermopower for the KTaO3 Field-Effect Transistors”, A. Yoshikawa, K. Uchida, K. Koumoto, T. Kato, Y. Ikuhara and H. Ohta, Appl. Phys. Express, 2, 121103 (2009)
13) 「無機機能材料」, 河本邦仁編, 2009, [東京化学同人]
14) “Direct C-C Cross-coupling Reaction from Secondary and Primary Alcohols Catalyzed by Alumina Supported Silver Subnano-Cluster”, K. Shimizu, R. Sato and A. Satsuma, Angew. Chem. Int. Ed., 48, 3982-3986 (2009) (Hot article)
15) “Chemoselective Hydrogenation of Nitroaromatics by Supported Gold Catalysts: Mechanistic Reasons of Size- and Support-Dependent Activity and Selectivity”, K. Shimizu, Y. Miyamoto, T. Kawasaki, T. Tanji, Y. Tai and A. Satsuma, J. Phys. Chem. C, 113, 17803-17810 (2009)
16) “Silica-Supported Silver Nanoparticles with Surface Oxygen Species as a Reusable Catalyst for Alkylation of Arenes by Alcohols and Styrenes”, K. Shimizu, Y. Miyamoto and A. Satsuma, Chem. Cat. Chem. 2, 84-91 (2010) (Inside Cover)
17) “Thermally Induced Self-assembly of Gold Nanoparticles Sputter-deposited in Ionic Liquids on Highly Ordered Pyrolytic Graphite Surfaces”, K. Okazaki, T. Kiyama, T. Suzuki, S. Kuwabata, and T. Torimoto*, Chem. Lett., 38, 330-331 (2009)
18) “Systematic Studies on Emission Quenching of Cadmium Telluride Nanoparticles”, T. Uematsu, T. Waki, T. Torimoto and S. Kuwabata*, J. Phys. Chem. C 113, 21621-21628 (2009)
19) “Remarkable Photoluminescence Enhancement of ZnS-AgInS2 Solid Solution Nanoparticles by Postsynthesis Treatment”, T. Torimoto, S. Ogawa, T. Adachi, T. Kameyama, K. Okazaki, T. Shibayama, A. Kudo and S. Kuwabata, Chem. Commun. 46, 2082-2084 (2010)
20) “High Temperature Solution Growth on Free-standing (001) 3C-SiC Epilayers”, R. Tanaka, K. Seki, T. Ujihara and Y. Takeda, Mater. Sci. Forum 615-617, 37-40 (2009)
21) “Stacking Faults around the hetero-interface Induced by 6H-SiC Polytype Transformation on 3C-SiC with Solution Growth”, K. Seki, K. Morimoto, T. Ujihara, T. Tokunaga, K. Sasaki, K. Kuroda, and Y. Takeda, Mater. Sci. Forum 645-648, 363-366 (2010
22) “Epitaxial Growth of NdFeAsO Thin Films by Molecular Beam Epitaxy”, T. Kawaguchi, H. Uemura, T. Ohno, R. Watanabe, M. Tabuchi, T. Ujihara, K. Takenaka, Y. Takeda and H. Ikuta, Applied Physics Express 2, 093002 (2009)


3.自然に学び環境にやさしいプロセスの創製(プロセス知略)

 本分野では、バックキャスト視点に立って、エネルギー・環境技術などに寄与する材料テクノロジーの発展を狙い、環境にやさしいものづくりに関連する新たな材料テクノロジーや材料創製プロセスに関わる基本原理・技術指針等の知見を蓄積している。
 本年度は、新規スラリー調製・評価技術によるスラリープロセスの高効率化、光機能性ソフトマテリアルの創製、バイオミメティック材料プロセッシングによる環境調和型ナノ材料の開発、ソリューションプラズマプロセッシングによる高機能ナノ材料の開発などの研究を重点的に実施した。

 「新規スラリー調製・評価技術によるスラリープロセスの高効率化」(椿 グループ) については、様々な産業分野において非常に重要な微粒子分散制御に関して、新たなケークレス高濃縮ろ過技術の開発、および、ナノ粒子スラリーの粒子集合状態評価技術の開発を推進し、多くの知見を得た。新たなケークレス高濃縮ろ過技術の開発については、高いろ過速度を維持しつつ、かつ既存のろ過技術を上回る高粒子濃度の濃縮物を回収できるろ過技術の開発を目的として、@凝集剤の代わりに分散剤を添加する、A螺旋案内付き芯棒をセラミックスフィルターに挿入する、という特徴を有する新たなろ過システムの開発を行い、実用化を目的とした鋼板の酸洗ラインから製造される酸化鉄粒子の固液分離プロセスへの適用を中心に研究を進展させ、産業界から注目された。ナノ粒子スラリーの粒子集合状態評価技術の開発については、スラリー中の粒子集合状態の評価・制御を目指し、ナノ粒子スラリーの持つ浸透圧に着目して、浸透圧の大小から粒子集合状態を評価できる技術に関する新たな知見を得た。

 「光機能性ソフトマテリアルの創製」(関 グループ) について、光によるナノ材料構造制御と機能変換システムの構築を目指し、代表的なフォトクロミック分子であるアゾベンゼンを導入した各種高分子系を設計・合成し、界面組織化を組み入れた薄膜形成に基づいた光形態変化、光分子配向制御、光物質移動、ナノ構造制御を行い、構造やその特性の評価を推進している。こうした光照射による材料プロセッシングは、バックキャストテクノロジーの有力な方法論になるものと期待される。今まで、ブロック共重合体薄膜の相分離構造の光制御について、液晶性ブロック共重合体薄膜のミクロ相分離構造の光配向制御が可能であることを示してきたが、本年度は、ミクロ相分離構造の動的変化の解明のため、放射光施設(KEK-PF)による小角X線散乱の連続観測を行い、予備的な観測に成功し、詳細な解析へ向けて研究を進展させた。また、光誘発物質移動に関して、高分子高感度物質移動系において、光架橋により300℃まで形状安定できることを示すとともに、酸化チタン系有機無機ハイブリッド液晶を用いた物質移動系の開発に着手し、ハイブリッドの合成、構造・物性評価、物質移動特性の評価を行うとともに、新たな酸化チタン薄膜の光微細加工プロセスを提案した。

 「バイオミメティック材料プロセッシングによる環境調和型ナノ材料の開発」(高井グループ) については、環境問題や資源枯渇問題などの解決への寄与を狙い、「生物の生み出す物質・構造・機能・プロセスなどを学び・理解し・洗練させることにより、新しい機能材料をデザインし・創製する「バイオミメティック材料プロセッシング」による環境調和型ナノ材料の創製を目的とし、研究を推進している。本年度は、「プラズマ・有機複合処理による高分子材料表面の機能化」について、超はっ水性表面の実現に必要な表面疎水性官能基の存在と表面の微細凹凸構造の研究を進め、大気圧下での誘電体バリア放電(DBD)と減圧下容量結合プラズマ(CCP)の二つのプラズマ処理により、高分子表面に微細凹凸構造を作製し、超はっ水表面実現の可能性に関する知見を得た。また、高分子電解質ブラシ上へのタンパク質吸着機構の解析について、タンパク質の吸着制御が可能なバイオセンサーやバイオチップなどへの応用を目指して研究を進め、高分子電解質ブラシ (PEB : Polyelectrolyte Brush )を用いたタンパク質の吸着制御の可能性に関して有益な知見を得た。

 「ソリューションプラズマプロセッシングによる高機能ナノ材料の開発」(斉藤グループ) については、環境調和型の材料プロセス設計に基づくナノ材料創製を狙い、ソリューションプラズマ(液中で生成する非平衡プラズマ)の反応場を利用したナノ粒子の合成、材料の表面改質、高速度処理を行い、新しい有機-無機ハイブリッドナノ材料合成プロセスに関する研究を推進している。本年度は、ソリューションプラズマによる銅ナノ粒子の合成、および、ソリューションプラズマを用いた燃料電池電極の作製と特性評価の研究を進展させた。水溶媒中で発生するソリューションプラズマにおけるラジカルの反応により、有機物の分解、殺菌、カーボン系材料の親水化、ナノ粒子の合成等に成功しており、また、Au, Pt, Pd, FePt, Fe2O3, SiO2, ZrO2等のナノ粒子の合成に成功しているが、ソリューションプラズマを用いて、より卑な金属単体を生成できるかどうかに関わる知見がないため、新たに銅ナノ粒子の合成に関する研究の知見を得た。リューションプラズマを用いた燃料電池電極の作製と特性評価の研究については、エネルギー・環境問題の解決に有用な固体高分子形燃料電池(PEFC)に関連して、PEFCの実用化の際の電極触媒に用いるPtの使用量低減の課題解決の策として、カーボンナノボール(CNB)に担体したPt/CNBの触媒活性の高い電極の作製の可能性に関する知見を得た。

▼主な研究成果の発表

23) “Solidification Mechanism of the Sediment Formed by Particle Settling -Analysis of the Formation of the Solidified Layer-”, H. Satone, T. Mamiya, T. Mori and J. Tsubaki, Adv. Powder Technol., 20 (1), 41-47 (2009)
24) “Development of A Novel Slurry Condensation Method by Applying Dispersant Instead of Flocculant”, J. Tsubaki, T. Mori, U. Tseveen and O. Bayanjargal, Adv. Powder Technol., 20, 106-110 (2009)
25) “Effects of Particle Concentration and Additive Amount of Dispersant on Adsorption Behavior of Dispersant to Alumina Particles”, T. Mori, I. Inamine, R. Wada, T. Hida, T. Kiguchi, H. Satone and J. Tsubaki, J. Ceram. Soc., Japan, 117(8), 917-921 (2009)
26) 「粉体工学叢書」, 粉体工学会編(編集委員長:椿 淳一郎), 第4巻「液相中の粒子分散・凝集と分離操作」(2010), 第7巻「粉体層の操作とシミュレーション」(2009), [日刊工業新聞社]
27) “Micropatterning of Titanium Oxide via Phototactic Motions”, K. Nishizawa, S. Nagano and T. Seki, J. Materials Chemistry 19(39), 7191-7194 (2009)
28) “Photo-crosslinkable Liquid-crystalline Azo-polymer for Surface Relief Gratings and Persistent Fixation”, W.H. Li, S. Nagano and T. Seki, New Journal of Chemistry 33, 1343-1348 (2009)
29) “Novel Liquid Crystalline Organic-Inorganic Hybrid for Highly Sensitive Photoinscriptions”, K. Nishizawa, S. Nagano and T. Seki, Chemistry of Materials, 21(13), 2624-2631 (2009)
30) 「Light-directed Smart Responses in Azobenzene-containing Liquid Crystalline Polymer Thin Films, Functional Polymeric Ultrathin Films」 (ed. by R. Advincula and W. Knoll), Vol. 2 Functionality and Patterning in Ultrathin Films, by T. Seki, (2010) [Wiley-VCH], in press
31) “Water Transfer Simulation of an Electrolytic Dehumidifier”, S. Sakuma, S. Yamauchi and O. Takai, J. Appl. Electrochem. 39 (6), 815-825 (2009)
32) “Self-assembly of Human Plasma Fibrinogens on Binary Organosilane Monolayers with Micro Domains”, S. H. Lee, N. Saito and O. Takai, Appl. Surf. Sci., 255(18), 7912-7917 (2009)
33) “Fabrication of Microtemplates for the Control of Bacterial Immobilization”, Y. Miyahara, K. Mitamura, N. Saito and O. Takai, J. Vac. Sci. Technol. A, 27( 5), 1183-1187 (2009)
34) 「バイオミメティック材料プロセッシングの開発」, 高井 治, 齋藤永宏, 石崎貴裕, まてりあ(日本金属学会報), 48 (4), 174-178 (2009)
35) “Characterization of Platinum Catalyst Supported on Carbon Nanoballs Prepared by Solution Plasma Processing”, Y. Ichino, K. Mitamura, N. Saito and O. Takai, J. Vac. Sci. Technol. A 27(4), 826-830 (2009)
36) “Synthesis Process of Gold Nanoparticles in Solution Plasma”, N. Saito, J. Hieda, O. Takai, Thin Solid Films 518, 912-917 (2009)
37) “Chemical Deposition and Corrosive Resistance of TiO2/MgF2 Composite Nanofilm on Magnesium Alloy AZ31”, T. Ishizaki, Y. Masuda and N. Saito, Electrochem. Solid State Lett. 12 (9), D68-D71 (2009)


4.将来の安心安全社会を支える材料技術(安全性知略)

 本分野については、バックキャスト視点に立って、産業や社会における安心・安全性の向上に寄与する物質・材料・プロセスの創製に関わる基本原理・技術指針等の知見を蓄積している。
 本年度は、組織・構造・形態制御による材料開発と高機能化、インテリジェントナノ材料としての新規機能性核酸の構築、セラミックスを基材にした生体組織修復材料の創製、後方押出し鍛造における製品寸法精度に及ぼすプレスのスライドモーションの影響、表面疵を有する材料の鍛造割れ予測、などの研究を重点的に実施した。

 「組織・構造・形態制御による材料開発と高機能化」(金武グループ) については、金属材料および金属間化合物やセラミックの無機材料を対象に、@形態制御、A構造制御、B組織制御の観点から軽量化構造用材料など環境調和型材料の開発とそのための環境調和型プロセスの開発を目指し、@金属材料の高度な組織制御による新機能の発現材料中の気孔形態を制御したポーラス材料の開発、A金属とセラミックの複合構造を制御する複合材料の開発、B材料中の気孔形態を制御したポーラス材料の開発を目指した研究開発を進め、多くの知見を得た。特に、金属材料の組織制御プロセスについて、当研究室で開発した「圧縮ねじり加工法」による組織制御プロセスの検討を進展させた。複合材料および製造プロセスについては、工業利用可能な安価な作製プロセスによって金属基複合材料やセラミック基複合材料を製造することを目指し、溶融金属の無加圧浸透法を利用したマグネシウム基複合材料の製造について有用な知見を得た。また、ポーラス材料および製造プロセスについて、 粉末プリカー法によるポーラス金属の作製、および燃焼合成発泡法による金属および金属間化合物の複合ポーラス材料の作成に関する研究の知見を得た。

 「インテリジェントナノ材料としての新規機能性核酸の構築」(浅沼グループ) については、バックキャスト的視点から、天然の核酸(DNA, RNA)を凌駕し、将来必要とされる機能を備えたインテリジェントナノ材料としての新たな機能性核酸の構築を推進している。本年度は、光応答性DNAエンザイムの構築、高輝度DNAドットに関する研究を進展させた。光応答性DNAエンザイムの研究については、RNA切断の光制御が可能な実用性の高いDNAマシンの開発を進め、光駆動型DNAマシンの構築によりRNA切断反応の完全なON-OFF光スイッチングを実現した。また、高輝度DNAドットの研究については、DNAに多数の蛍光色素を導入した高輝度発光性DNAを構築し、量子ドットに匹敵する高感度なDNAのラベル化法に関して、発光状態と輝度の制御に成功した。
 本分野に関して、本年度、浅沼・梁らの研究論文が、Small誌表紙、FEBS誌表紙、および、Angewandte Chemie誌Hot Paperに選定された。

 「セラミックスを基材にした生体組織修復材料の創製」(大槻グループ) については、高齢化社会や将来の医療への寄与を狙い、バックキャスト視点に立って、将来、高い生物学的親和性や安全性およびより高い治療効果を要求される生体材料に必須の結晶材料と生体分子の相互作用などを理解するための研究を推進し、@骨と結合する性質(骨伝導性)を発現する生体活性有機−無機ハイブリッドの創製、A形態を制御した生体関連鉱物(バイオミネラル)の合成プロセスの開発、B材料表面が生体環境において示す挙動の解明について多くの知見を得た。生体活性な有機−無機ハイブリッドについて、骨伝導性と生体吸収性を示す材料を得ることに成功し、また、温度応答型骨伝導性材料の創製に成功した。また、形態を制御したバイオミネラルの合成手法については、水熱法と水和ゲル法を用いたが、水熱合成の条件を検討し、水熱条件でアスペクト比の大きい針状のヒドロキシアパタイトを合成する条件する条件を確立した。

 「後方押出し鍛造における製品寸法精度に及ぼすプレスのスライドモーションの影響」(石川グループ) については、将来の安心安全社会を支える材料技術の研究の一環として、今後の自動車用ユニット系部品の量産に必須の材料加工法の創製を目指し、温・熱間鍛造に比べて成形性および生産性に優れた冷間鍛造について製品寸法精度向上技術の研究を推進した。その結果、高精度な冷間鍛造品の生産条件に関連して、サーボプレスを用いた冷間後方押出し加工における最適加工条件・機構の理論解析・解明に関する基礎的かつ重要な知見を得た。今後、サーボプレスの鍛造加工品精度向上への効果を活用し、多くの適用部品への展開が期待でき、また、解析も使用して最適なスライドモーションを検討し、適用事例を広げる。

 「表面疵を有する材料の鍛造割れ予測」(湯川グループ) については、安心安全を支える材料加工の研究の一環として、自動車部品、家電製品等多くの分野で複雑形状部品の大量生産に適した素材加工法である冷間鍛造に関して、将来益々厳格になると思われる材料加工時の材料表面の品質の制御に対する基本原理や技術指針の解明、および、疵を低減させる加工条件の理論的解明を狙った研究を進展させ、材料の据込み加工における割れ発生評価(端面拘束円柱圧縮試験)、および、有限要素解析による破壊予測式を用いた破断限界のシミュレーションについて新たな知見を得た。

▼主な研究成果の発表

38) “Self-propagating Foaming Process of Porous Al-Ni Intermetallics Assisted by Combustion Reaction”, M.Kobashi, K. Kudoh and N. Kanetake, Materials, 2(4), 2360-2368 (2009)
39) “Effects of the Strain Rate and Alloying on the Compression Characteristics of Closed Cell Aluminum Foams”, T. Hamada, H. Kanahashi, T. Miyoshi and N. Kanetake, Mater. Trans., 50(6), 1418-1425 (2009)
40) “Combustion Foaming Process of Porous Al3Ti/Al Composite Synthesized from Elemental Powders”, N. Inoguchi, M. Kobashi and N. Kanetake, Mater. Trans., 50(11), 2609-2614 (2009)
41) “A Supra-Photoswitch Involving Sandwiched DNA Base Pairs and Azobenzenes for Light-Driven Nanostructures and Nanodevices”, X.G Liang, T. Mochizuki and H. Asanuma, Small, 5, 1761-1768 (2009) (Front Cover)
42) “A Light-driven DNA Nanomachine for Efficiently Photoswitching RNA Digestion”, M.G. Zhou, X.G. Liang, T. Mochizuki and H. Asanuma, Angew. Chem. Int. Ed., 49, 2167-2170 (2010) (Hot Paper)
43) “Photoregulation of DNA Transcription by Using Photoresponsive T7 Promoters and Clarification of Its Mechanism”, X.G. Liang, R. Wakuta, K. Fujioka, H. Asanuma, FEBS J., 277, 1551-1561 (2010) (Front Cover)
44) “Characterization and Mechanical Testing of Hydrothermally Treated HA/ZrO2 Composites”, D. J. Curran, T. J. Fleming, G. Kawachi, C. Ohtsuki and M. R. Towler, J. Materials Science: Materials in Medicine, 20 [11], 2235-2241 (2009)
45) “Bioactive Ceramic-based Materials with Designed Reactivity for Bone Tissue Regeneration”, C. Ohtsuki, M. Kamitakahara and T. Miyazaki, J. Royal Society Interface, 6 [Suppl. 3], S349-S360 (2009) (June 6, 2009) (doi:10.1098/rsif.2008.0419.focus)
46) “Synthesis of a Bi-structured Hybrid in a CaO-SiO2-PTMO System and in Vitro Evaluation on Its Potential of Bone-bonding Property”, M. Y. Koh, H. M. Kim and C. Ohtsuki, Materials Science and Engineering: C, 30, 454-459 (2010)
47) 無機機能材料、9章 生体材料」, (河本邦仁編), 大槻主税, (2009), pp.200-226[東京化学同人]
48) “Research on Some Basic Deformations in Free Forging with Robot and Servo-press”, X. Y. Wang, N. Yukawa, Y. Yoshida, T. Sukeda and T. Ishikawa, J. Materials Processing Technology, 209(6), 3030-3038 (2009)
49) “Deformation Analysis of Shearing Process Using Results of Notched Round Bar Tension Test”, T. Ishiguro, Y. Yoshida, N. Yukawa and T. Ishikawa, Materials Transactions, 50(7), 1671-1677 (2009)
50) “Strain-induced Boundary Migration of Carbon Steel at High Temperatures”, Y. Yogo, H. Takeuchi, T. Ishikawa, N. Iwata and K. Nakanishi, Scripta Materialia, 61(11), 1001-1003 (2009)
51) 「温熱間鍛造用金型の損傷評価試験法の提案」, 岡島琢磨, 伊藤樹一, 吉田広明, 五十川幸宏, 石川孝司, 塑性と加工, 50(586), 1034-1038 (2009)
52) 「例題で学ぶはじめての塑性力学、2章 応力とひずみ」, 日本塑性加工学会編), 湯川伸樹, (2009), [森北出版]