材料バックキャストテクノロジー研究センター第U期(MBT2.0)の始動


名古屋大学大学院工学研究科 教授
センター長 小橋 眞

 モノづくり産業に欠かせない素材および素形材開発に要求される技術が,より高度化・複雑化・短時間化し,その一方で基盤産業を支える基礎的な教育と研究リソースの維持が懸念されています.材料バックキャストテクノロジー研究センターでは,多様な専門的知識を持つ研究者の知識・知恵・技術を集結し,先端的共同研究を行うことで,次世代のモノづくり産業に技術革新をもたらす研究開発拠点の形成を目指します.

 本センターは,平成20年に,21世紀COEプログラム「自然に学ぶ材料プロセッシングの創成 (Nature Nano COE) 」,さらに,「環境にやさしいナノテクを利用したものづくり(第I期知的クラスター創成事業)」の成果に基づき設立され,国内外の大学,研究機関及び企業等との共同研究・開発の促進に大きな役割を果たし,ナノテクノロジー・材料分野において優れた研究成果をあげてきました.本センターは,5つの基幹部門(物質知略,エネルギー知略,プロセス知略,安全性知略,産学連携)から構成されおり,研究対象は,金属,セラミックス,高分子,生体材料などの材料全般で,従来枠にとらわれることなく,人と環境の調和に向けた知略のもとで最先端の研究開発を進めてきました.このような理念のもと,次世代産業技術の基盤となるバックキャスト手法に基づく材料テクノロジー研究の我が国における唯一の研究教育拠点として,最先端の学術研究と若手人材育成,産学連携,地域連携,国際連携の活動を行ってきました.センター設立から7年が経過し,材料開発にとどまらず、様々な分野でバックキャストという言葉が認識され,またその理念の重要性が理解をされ始めました.今後の材料開発においては,技術革新および社会情勢の変動が著しい速度で変化していく時代を迎え,バックキャストを抽象的な概念ではなく,材料開発の具体的な方法論として活用し,次世代を見据えた材料開発を行う必要があります.このために,本センターは2016年4月から第U期の活動を開始することになりました.私たちは、第U期のセンターをMBT2.0と称して,新しい活動を始めて行きます.MBT2.0では.センターの保有する先端的計測・シミュレーション技術の活用により,モノづくり基盤技術(例えばナノスケール材料設計技術を駆使した次世代の金属製錬・加工・接合技術,次世代アディティブマニュファクチャリングなど)に関する先導的研究を実施します.同時に,インフォマティクス・機械学習等の研究分野との融合を大胆に進め,卓越した性能を有する素材・素形材を高効率・短期間で開発・生産するための材料デザイン・プロセス技術を確立することにより,産業界と協調してオープンイノベーションを実効的に推進していきます.